セネガル共和国の法人・会計監査・税労務等の基本情報

 

 

1. 国家基本情報

首都:

首都:ダカール

通貨・為替:

通貨:西アフリカCFAフラン(XOF)
為替:1 USD = 約581 XOF(2025/05月平均)

CFAフランは西アフリカ経済通貨同盟(WAEMU)の共通通貨であり、フランス財務省の保証の下で通貨の交換性が担保されている。

経済指標:

人口:約1,850万人(2024年、世銀)
GDP:約322.7億米ドル(2024年、世銀)
一人当たりGDP:1,744ドル(2024年)
実質GDP成長率:6.9%(2024年、世銀)
インフレ率:0.8%(2024年)

主要産業は農業(落花生や雑穀、綿花など)・漁業(マグロ、カツオ、エビ、タコ等)であり、第3次産業(商業、物流、通信)がGDPの約3分の2を占める。近年は金やリン鉱石等の鉱物資源に加え、南部沖合での石油生産(2024年開始)や近隣海域での天然ガス生産(2025年開始)も始まり、資源産出国としての展望も開けている。一方で貧富の差や若年層失業が課題となっている。

日本との関係:

対セネガルODA累計
有償資金協力:785.92億円
無償資金協力:1,296.67億円
技術協力:626.84億円

輸出:約55.9億円(魚介類・金属鉱石など)
輸入:約93.8億円(合成繊維・鉄鋼・機械類など)

日系進出企業数:24社(2024年10月現在)
進出業種:自動車・商社・プラント・サービス業など

1960年のセネガル独立直後に日本は国家承認し、以降外交関係は良好である。政府要人往来も活発で、経済協力分野では日本は主要援助国の一つである。駐在員やその家族を含む在留邦人数は227人(2024年10月現在)と少数だが、日本大使館やJETRO(在アビジャン事務所管轄)によるビジネス支援が行われている。

2. 法人設立制度

法人形態:

主な法人形態
株式会社(Société Anonyme, SA)
有限責任会社(Société à Responsabilité Limitée, SARL)
合名会社(Société en Nom Collectif, SNC)
合資会社(Société en Commandite Simple, SCS)
単純型株式会社(Société par Actions Simplifiée, SAS)

セネガルではOHADA(一括されたアフリカ商法)に基づき複数の法人形態が認められる。SAは株式公開の有無により要件が異なり、SARLは中小企業で一般的な形態である。

外国企業が現地事業を行う場合、現地法人設立のほか支店(法人格なしで登記可能)や駐在員事務所の開設も認められている(ただしOHADA規定により、非OHADA加盟国企業の支店は開設後2年以内に現地法人へ移行する必要がある)。

外資規制:

原則として外資に対する株主比率規制はなく、ほとんどの業種で100%外資出資の会社設立が可能である。電力・公共事業など一部の戦略分野では別途規制や政府許認可が求められる場合があるが、全体としてセネガルは外資投資を歓迎し自由化された法制度となっている。

外国投資家の利益送金や資本撤退の自由も法律上保証され(後述の投資法による外貨送金保証)、国有化や接収のリスクに対しても法令で保護規定が整備されている。

資本金要件:

SARL(有限会社)については法定の最低資本金規定が撤廃され、理論上は1フランから設立可能である。しかし実務上、多くの銀行や登記官は最低資本金として約100万XOF程度を要求する傾向がある。

SA(株式会社)の場合、OHADA統一法により非公開SAは最低資本金1,000万XOF、株式公開SAは最低1億XOFと定められている。

SNCやSCSなどの人的会社(パートナーシップ)は出資者が自由に資本金額を決定できる。

なおSAS(単純型株式会社)は設立要件が柔軟で、資本金額や株式の額面も出資者の任意に定められる。

登記手続き:

会社設立手続きはワンストップサービスにより効率化されている。まず公証人の下で定款を作成し、必要に応じ資本金を銀行の仮口座に払い込む。次に投資促進庁APIXの「企業設立局(BCE: Bureau de Création d’Entreprise)」で登記申請を行う。

必要書類は定款、公証人作成の設立証書、商業登記簿(RCCM)登録申請書、出資者全員の身分証コピー(外国人出資者はパスポート)、代表者の無犯罪証明書またはAPIX所定の誓約書等である。登記申請は迅速であり、書類が整っていれば2〜3営業日程度で完了する。登記完了後、法人には商業登記番号(RCCM番号)と税務番号(NINEA)が付与される。

3. 税制度

法人税:

法人税率:30%(2024年時点)

納税は暦年を事業年度とし、通常翌年4月末までに確定申告・納付を行う(中間納付制度あり)。

企業が未課税利益や剰余金を資本化(増資)する場合、1%(未課税部分は2%)の資本税が課される。配当金、利子、ロイヤルティ等の源泉課税は支払先や条約によって10〜20%の税率が課される(非居住者配当は通常10%)。

また最低税負担として、利益が小額でも年間売上に一定率(通常0.5〜1%)を乗じた最低税が発生する制度がある。なお特定産業(銀行・保険等)や活動には別途附加税が課される場合がある。

付加価値税(VAT):

標準VAT税率:18%(2024年現在)

原則として国内で対価を得て行われる物品の販売、サービス提供および輸入取引が課税対象となる。観光業等一部の限定分野には10%の軽減税率が適用される。輸出取引や国際輸送、教育・医療等は非課税もしくは免税となる。

VAT納税義務者は月次で申告・納付を行い、納付期限は翌月15日までである。仕入VATは要件を満たせば控除可能で、不足分は還付も認められる。

金融サービスにはVATに相当する**金融活動税(TAF)**が課され、金融機関の貸付利息や送金手数料等に対し適用される(標準税率17%相当で一部取引除外)。

農産品初加工や鉱業探鉱段階など投資法上の特典対象事業では、VATの一時免除や繰延が認められる場合がある。

個人所得税:

所得税率は段階的累進構造で最高税率は40%(2024年時点)である(課税所得金額に応じ0%〜40%の税率帯)。給与所得については源泉徴収され、雇用主は毎月天引き納付する義務がある。給与所得には家族手当的控除が設けられ、扶養家族数に応じ課税所得を減じる制度がある。

なお高額退職金等には分離課税規定があり、一定額を超える部分に5%の特別税が課される。

その他、雇用者は給与総額の3%相当の拠出金(雇用者拠出税)を負担する。この拠出税は職業訓練促進等に充当される目的税である。

その他の税金:

上記以外に事業税(特許税)がある。これは地方税であり、営業許可料や固定資産割に相当する税金が毎年課せられる。

資産保有に対しては不動産税や自動車税などが存在する。輸出入時には関税のほか、統一関税(CET)や統計税などが賦課される。

印紙税・登録税も各種取引(不動産譲渡や公証手続きなど)で発生する。

4. 会計・監査制度

会計基準:

セネガルはOHADAの統一会計制度に則った会計基準を採用する。OHADA加盟各国共通のSYSCOHADA(西・中部アフリカ会計システム)に基づき、フランス式の勘定科目体系と財務諸表フォーマットが定められている。すべての企業はこの基準に従って記帳し、年次財務諸表を作成しなければならない。

一般企業はSYSCOHADAの通常基準を用いるが、銀行・保険等の特定業種には別途統一会計基準が適用される。国際会計基準(IFRS)は法定では必須ではないが、一部多国籍企業や地域株式市場上場企業は任意でIFRSに準拠した連結財務諸表を作成する場合もある。

会計年度は暦年(1月1日~12月31日)が原則で、年度終了後6ヶ月以内に定時株主総会で決算承認を行う必要がある。

監査要件:

株式会社(SA)については法定監査役(Commissaire aux Comptes)の設置が義務付けられる。その役割は会計帳簿の検査と財務諸表が適用基準に準拠して適正に作成されているかの証明である。公開SAでは常任監査役2名(補欠2名)、非公開SAでは常任監査役1名(補欠1名)が必要で、任期は設立時2年、以降6年ごとの選任となる。

有限会社(SARL)は原則として監査役の設置義務はないが、次の3要件のうち2つ以上を満たす場合には監査役を置かなければならない。
(1) 総資産1億2,500万XOF以上
(2) 年間売上高2億5,000万XOF以上
(3) 常時使用従業員数50人超
SARLの監査役任期は3年。監査役は独立した公認会計士でなければならず、会社から委嘱を受け財務諸表の監査報告書を作成する義務がある。

また、会社が現物出資を行う場合、その評価について公認の出資監査人による査定が必要であり、SAでは現物出資に必ず査定が要求される(SARLでは出資額が500万XOF超の場合に必要)。

登録要件:

セネガルで監査業務や会計士業務を提供するには、国家専門家協会への登録が必要である。公認会計士や監査法人は同協会に属し、資格要件(フランスやOHADA圏の公認会計士資格等)を満たす者のみが監査報告書へ署名することが許される。

また税理士・会計士として企業の帳簿を預かる場合にも登録が求められ、無資格での業務は罰則の対象となる。

企業側には特段の会計士設置義務はないが、一定規模以上の会社は経理責任者に専門資格者を起用することが望ましいとされる。

財務諸表の提出:

決算承認後1ヶ月以内に商業・動産財務登記所(RCCM)に対し貸借対照表・損益計算書等を備え置き・提出することが要求される(これにより一般に閲覧可能な状態とする)。

提出を怠った会社の経営者には1〜3ヶ月の禁錮または罰金が科され得る旨が法定されている。

さらに西アフリカ地域の指令に基づき、WAEMU加盟国では財務諸表提出のワンストップ窓口(GUDEF)が設けられ、企業は電子的に年次財務諸表を登録できる仕組みが整いつつある。税務当局への提出については、法人税申告時に財務諸表の添付提出が必要となる。

5. 労務制度

雇用契約:

セネガルの労働関係は1997年制定の労働法(法律第97-17号)および職種別労働協約によって規律される。

雇用契約は期間の定めのない常用契約(CDI)が原則だが、一定条件下で有期契約(CDD)も認められる。CDDは原則2年以内で更新1回まで(それ以上はCDIとみなされる)という制限がある。雇用契約は書面で締結することが推奨され、使用者は契約内容を仏語で記載した労働契約書を作成し、労働監督局に届出る慣行がある。

試用期間は職種により1〜3ヶ月程度設定可能で、試用中は双方即時解約が認められる。

企業は従業員を雇用した場合、8日以内に労働当局への通知(採用届)を行う義務がある。また従業員の権利を守るため、労働規則や就業規則を備え置くことが義務付けられている(常時雇用者50名以上の場合)。

最低賃金:

非農業部門:時給370.52 XOF
農業部門等:時給236.86 XOF

この水準は月額換算で非農業労働者約6.4万CFAフラン、農業労働者約4.1万CFAフランに相当する。

最低賃金は全国一律であり、使用者はこれを下回る賃金で労働者を雇用することは禁止されている。産業別労働協約により、各職種・技能等級ごとにより高い基準賃金が定められている場合もある。

なお労働者にはこのほか法律で定める家族手当や通勤手当等の支給が必要な場合があり、総労働コストには付随的給付も考慮する必要がある。

労働時間:

法定通常労働時間は週40時間である(1日8時間×5日相当)。農牧業・関連業種については年間労働時間上限が2,352時間と規定されており、季節変動に応じた時間配分が可能となっている。

時間外労働は原則として労使協議の上で可能だが、割増賃金の支払いが義務付けられる。通常残業割増率は平日時間外で基本給の15%増し、深夜・休日はもっと高率(例:夜間は50%増し)と労働協約等で定められる。

法定の休憩・休日として、週1日の有給休日(通常日曜)と、年間労働日数に応じた有給休暇(勤続1年で24労働日の年次有給)が保障される。

女性労働者には産前産後各6週間の産休(有給)が認められている。

また宗教上の祝祭日(イスラム教・キリスト教双方の祝日)や独立記念日等が法定休日として定められている。

解雇・退職:

解雇は個人的理由(能力不足・違法行為等)によるものと、経済的理由(業績不振や組織再編による人員削減)によるものに大別される。

個人的理由解雇の場合、従業員の明白な職務不適格や重大な背信行為等が要件となり、手続きとしては事前に書面で弁明の機会を与え、懲戒委員会での審査を経て、解雇通知を出し労働監督官に報告する必要がある。

経済的理由による解雇の場合、まず解雇回避のため従業員代表との協議を行い、労働時間短縮・他職への配置転換・一時帰休等あらゆる方策を検討する義務が使用者に課される。それでも余剰人員の削減が不可避の場合、合理的な人選基準に従って解雇対象者を決定する。一般に能力の低い者から選定し、同等の場合は勤続年数が長い者を優先的に残すとされ、さらに既婚者には勤続年数に1年分、扶養家族を有する者には一定の加算考慮を行う規定がある。

従業員代表(労組委員など)の解雇には労働監督官の事前承認が必要である。解雇予告期間は勤続年数に応じ1〜2ヶ月(勤続2年未満で1ヶ月、2年以上で2ヶ月)とされ、その期間中も賃金を支払う。

解雇手当(退職金)は、解雇が労働者の重大な過失によらない場合、勤続1年以上で支給義務が生じ、勤続年に応じた平均月給の一定割合(例えば勤続年数ごとに月給の25%など累進)が支給される。

定年は60歳に定められており、一般企業・公務員とも原則60歳で退職となる(医師等専門職は65歳まで延長例外あり)。希望者は55歳以上での早期退職も可能であるが、企業内規定に従う必要がある。

労働争議・労使関係:

労働者は企業内に労働組合を組織する権利を有し、セネガルには複数のナショナルセンター(労組全国組織)が存在する。

労働争議(紛争)は個別紛争と集団紛争に分かれる。個別労働紛争では、まず当事者間での協議・和解が試みられ、解決しない場合は労働監督官(Inspection du Travail)に調停を申請できる。監督官主導の調停でも合意できない場合、労働裁判所に訴訟提起が可能である。

集団労働紛争(複数労働者が関与する労使対立)の場合、ストライキ権が認められる。ただしストを行うには事前に使用者へ書面による予告通告を行い(通常10日前まで)、その間に労働当局を交えた和解手続きを経る必要がある。公共サービス部門については最低サービス維持のための制限規定もある。

6. 外国人進出企業向け制度

特別経済区と投資優遇:

セネガル政府は外国直接投資促進のため経済特区(ZES)を整備している。代表的なのが首都近郊ジャムナジョ(Diamniadio)経済特区で、西アフリカ最大規模とされる工業団地・物流拠点が開発されている。また郊外のンジャッセ(Ndiass)には日本企業専用経済特区が構想され、投資誘致が進められている。

経済特区内の企業には最大25年間の税制優遇が与えられ、関税・付加価値税の免除や法人税率引下げ(通常30%→15%)などが適用される。また特区では労働契約の柔軟化(有期契約の長期化容認等)などビジネスに有利な条件が整備されている。

投資法(Investment Code)に基づく優遇措置も全国で利用可能である。投資法は2004年法律第2004-06号(2012年改正)で制定され、新規事業創出や内陸部投資に対し税制上の特典を付与する。投資法の認可を受けた企業は法人税の一部免除や設備投資のVAT免除(最初の3年間)、機械・原料の輸入関税免除、投資額の40%分の税額控除(5年間)等のメリットを享受できる。

投資促進機関:

セネガルの対投資窓口機関はセネガル投資促進・大型事業庁(APIX)である。APIXは投資案件の情報提供から企業設立ワンストップサービス、各種許認可の取得支援まで包括的にサポートする。

海外投資家向けには英文の投資ガイドや案件相談を提供しており、重点分野(製造業、農水産、IT等)の投資フォーラム開催やインフラPPP案件の募集も行っている。

さらに首相直属の投資・大規模プロジェクト評議会が設置され、ビジネス環境の改善や外資誘致政策の立案を統括している。具体的施策として、企業設立手続の簡素化、税関手続オンライン化、特区開発などが進められてきた。日本企業向けにもAPIX内に日本デスクが設置されており、必要に応じ言語サポートも受けられる。

ビザ・労働許可:

日本国籍者は観光・短期出張目的であればセネガル入国にビザは不要であり、90日以内の滞在は査証免除となっている(2015年査証制度改正による)。90日を超えて滞在する場合や就労を伴う場合は、長期ビザ(滞在許可)と労働許可証が必要である。

労働許可(Permis de Travail)は内務省配下の労働局に申請し取得する。主な必要書類は就労ビザ申請書、雇用契約書、申請者の無犯罪証明書(本国発行)、健康診断書、写真、パスポートの写し等で、書類はフランス語翻訳・公証が求められる。通常、労働許可は最初2年間有効なものが発行され、更新可能である。労働許可と並行して外国人滞在者証の取得も必要であり、セネガル到着後に居住地管轄の警察当局へ申請する。

なお労働許可はスポンサー企業に紐づくため、転職する際は新たに許可を取り直す必要がある。

外貨規制:

経常取引の支払い(輸入代金決済・サービス料支払いなど)は制限なく認められ、公認の金融機関(銀行)を通じて自由に外貨送金可能である。

一方、資本取引(外国への投資・貸付・証券取得等)については事前承認や事後報告が義務付けられている。具体的には、居住者が海外へ直接投資を行う場合、財務大臣の事前許可を取得しなければならない。

また非居住者間の送金や、居住者による国外からの借入、国外へのローン返済・配当送金等は対外金融局およびBCEAOへの報告が必要とされている。これらの送金はすべてBCEAO認可の銀行(公認仲介業者)経由で行う義務がある。

外国投資家の利益送金については、必要な税金納付を終えていれば配当・事業利益を海外本国に送金することが認められており、投資清算時の資本回収送金も含め1ヶ月以内に自由に本国送金可能と法令で保証されている。

7. 金融・資金調達制度

銀行口座開設手続き:

口座開設には各銀行所定の申込書のほか、会社の商業登記簿謄本(RCCM証明書)、税務登録証明(NINEA)、定款写し、官報公告コピー、代表者のID(外国人はパスポート)、代表者住所証明(公共料金領収書等)、写真などの提出が求められる。

法人の場合、最低預入金額として10万CFAフラン程度を初回入金する必要がある(銀行により異なる)。手続き自体は数日で完了し、口座番号とIBANが発行される。

注意すべきは口座維持手数料で、セネガルの銀行口座は毎月の維持費が発生する。例えば一般的な法人当座口座で月額7,500〜23,500 XOF程度の維持料が銀行ごとに設定されている(2024年現在)。

現地借入・金利水準:

融資金利は中央銀行BCEAOの政策金利および市場金利に連動する。BCEAOは域内共通の金融政策を行い、政策金利は2023年に5.50%まで引き上げられた後、2025年には3.25%に引き下げられた。これに各銀行のスプレッド(信用コスト)が上乗せされ、一般企業向け貸出金利は平均で年利7〜10%程度となっている。

銀行融資の期間は運転資金用の短期ローン(1年以内)が多く、長期投資資金は国際金融機関(IFCや開発銀行)のラインを使った融資スキームが利用されることもある。政府は中小企業向けの低利融資促進のため国家開発銀行(BNDE等)への資金拠出を行い、一定の優遇融資制度も設けている。

送金・為替サービス:

企業間の海外送金は通常銀行のSWIFT送金により行い、日本への送金も各都市銀行で可能である。

為替サービスについて、CFAフランはユーロと固定であるため対ユーロ為替リスクは無いが、対ドル等他通貨への換金は銀行で行う。企業は必要に応じ外貨建て口座を開設することも可能で、輸出代金等を一時的に外貨で保持できる(ただし一定期間内にCFAフランへ転換するよう義務付けられる場合あり)。

為替取引には銀行手数料(1%前後)や公定の金融取引税(TOB)が付加される。

フィンテック動向:

現在ではOrange Money・Waveが二大勢力として、個人間送金、光熱費支払い、携帯料金チャージなど日常決済の主要手段となっている。

決済以外のフィンテック分野でも、オンライン融資、クラウドファンディング、暗号資産取引などのサービスが徐々に登場している。全体としてセネガルは若年層人口の多さとITリテラシー向上により、フィンテックが著しい発展を遂げつつあり、今後も金融サービスの革新が期待される。

8. 文化・商習慣・その他リスク

契約遵守文化:

セネガルはフランス法の強い影響下にあり、ビジネス契約も欧州型の形式で締結されることが多い。企業間取引では契約書を詳細に作成し、公証人認証を付すケースも見られる。法制度上は債務不履行に対する救済手段(損害賠償請求や仲裁)が整備されているため、外国企業としては契約条項を明確に定め、違反時のペナルティや準拠法・紛争解決方法(例:国際仲裁)を契約書に明記することが重要である。

セネガルはOHADA統一商法の一環として調停・仲裁制度も導入しており、紛争時に利用可能である。

汚職・賄賂リスク:

透明性国際の腐敗認識指数(CPI)では毎年180か国中70位前後(2023年は70位、スコア43)と健闘しており、政府の汚職撲滅への取組みも一定の成果を上げている。2004年には国家汚職対策庁(OFNAC)が設立され、公務員の不正監視や汚職摘発を行っている。セネガル政府はビジネス環境改善の一環で賄賂追放キャンペーンを続けており、ビジネス上の倫理遵守姿勢は長期的に評価される傾向にある。

治安・政情リスク:

セネガルは1960年独立以降、クーデターを一度も経験しておらず、西アフリカで最も政治的安定性が高い国の一つである。民主的な政権交代も複数回実現し、現在も立憲共和国制が維持されている。ただ近年は政治的緊張が高まる局面もあり、2023年には有力野党指導者の訴追を巡る抗議デモが発生し、一部地域で暴動や衝突が起きた。ただし政府と反政府勢力の和平交渉が進み、近年は大規模な戦闘は発生していない。

治安面では、都市部でスリや置き引き等の軽犯罪が発生するが、殺人や武装強盗といった凶悪犯罪は少ない。テロの脅威は近隣マリやブルキナファソ等と比べ低い水準だが、国際情勢の影響で油断は禁物である。政府は国境警備や情報機関を強化しており、現在までセネガル国内で大規模テロ事件は起きていない。

総じて治安は西アフリカで最良クラスだが、油断せず企業として危機管理計画(安全マニュアル、緊急連絡網、避難ルート確認等)を用意することが望ましい。

パートナー関係構築の留意点:

主要ビジネス言語はフランス語であり、政府・企業の公式文書や交渉も仏語で行われる。英語だけでは十分でないため、仏語対応可能な人材を配置するか通訳を活用する必要がある。

時間感覚については比較的おおらかであり、約束の時間に多少遅れることも日常茶飯事だが、外国企業側は時間厳守の姿勢を示しつつ柔軟に構えることが求められる。

9. 実務上のポイント・進出のしやすさ

日系企業事例:

・トヨタ:現地代理店を通じ自動車販売網を開拓
・住友商事:電力インフラプロジェクトに参画
・豊田通商:農業機械の普及事業を展開
・キッコーマン:日本食品の市場流通

セネガルに進出した日系企業は自動車販売、総合商社、建設機械、食品、水産加工、サービス業など多岐にわたる。2022年には日系メーカー数社が特区内進出に関心を示し、現地視察団が派遣された。

日系企業間では緩やかな情報交換ネットワークがあり、日本大使館やJICAを中心に安全情報や経済情報の共有が行われている。

競争優位性・課題:

セネガル市場の魅力は政治的安定、戦略的な地理位置、そして比較的高い教育水準にある。西アフリカの玄関口であるダカール港は物流拠点として重要で、内陸国マリへの中継貿易も担う。WAEMU共通通貨圏であるため加盟国内(Côte d’IvoireやMali等)への製品移動が関税なしで可能な点も競争優位と言える。

また人口は増加傾向にあり若年層比率が高く、将来的な労働力・消費市場として成長余地が大きい。

課題としては市場規模の限定、製造基盤の脆弱性、そしてビジネスコストの高さが挙げられる。電力料金やインターネット費用はアジア諸国に比べ割高で、企業経営コストとなる。輸入に依存する製品が多く、消費財市場では欧州・中国・トルコなど海外製品との競争も激しい。

手続き難易度:

世界銀行のDoing Business指標(2020年版)ではセネガルは総合123位で、アフリカで中位グループに属する。会社設立手続(4日・費用GDP比11.1%)や不動産登記、少額投資家保護の分野で評価が高い一方、建設許可取得、電力引込、契約執行(訴訟手続期間約740日)等は依然課題とされる。特に行政の電子化は進行中で、税申告などはオンライン可能だが、土地登記や許認可は対面申請が残り時間を要する場合がある。

労働許可取得なども前述のように制度化されているため、手順を踏めば特段難しくはない。総じてセネガルで事業を始める難易度は、アフリカの中では中程度である。

専門家ネットワーク:

ダカールには国際会計事務所(Big4系列)やフランス系の大手法律事務所が進出しており、会計監査、税務申告、法務デューデリジェンス等のサポートを提供している。

さらに公的ネットワークとして在セネガル日本国大使館やJICA事務所が情報提供を行っており、JETROはコートジボワールのアビジャン事務所がセネガルもカバーして相談対応している。

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